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大学院工学系研究科 附属水環境工学研究センター 教授

大学院担当:大学院工学系研究科 都市工学専攻

学部担当:工学部都市工学科

微生物科学イノベーション連携研究機構 

略歴

  • 1990.3 広島学院高等学校卒業
  • 1994.3 東京大学工学部都市工学科卒業
  • 1999.3 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻博士課程修了
  • 1999. 4 東京大学 助手(大学院工学系研究科都市工学専攻)
  • 2000. 4 大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター(新設)へ配置換
  • 2003. 3 東京大学 講師(大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター)
  • 2007.10 東京大学 准教授(大学院工学系研究科附属水環境制御研究センター)
  • 2022. 4 東京大学 教授(大学院工学系研究科附属水環境工学研究センター)

研究テーマ

水処理や水質管理において、実際に何が物質として関与していて、どのような反応が起きていて、どのような微生物がかかわっているのか。「水質」を理解するために、化学物質と微生物の両方の側面から研究を進めているところに大きな特徴があります。環境を守ることを研究の最終目的とし、きわめて複雑な要因が絡み合った環境を、基礎科学的分析により可能な限り理解しながら究めていくのが、我々の研究です。

1)精密質量分析計を用いた有機物分析による水処理プロセスの解析と環境管理への応用

 浄水、下水、環境水にはきわめて多種多様な有機物が溶存しています。環境中や水処理における微生物学的、物理化学的プロセスにより、どのように変化するかを解析することで、各プロセス制御に生かしたり、より網羅的に環境管理を進めていくことを目的としています。

2)生物学的水処理プロセスにおける微生物群集と機能の解析

 微生物生態系は、様々な水処理に適用されていますが、その生態系構造と機能の関係はほとんどにおいていまだブラックボックスです。生態系を理解し、処理プロセスの制御につなげる研究を行っています。

3)水利用システムにおける微生物再増殖の制御

 水利用を行う際には、水処理プロセスにおいて消毒などにより微生物の増殖が抑制されています。微生物の増殖をより効果的に抑制するために、増殖基質となる有機物を解析し制御するための研究を行っています。

4)揮発性有機化合物による水環境及び土壌環境汚染のバイオレメディエーション

 省エネルギー・省資源の浄化技術開発が、土壌地下水汚染問題解決のための大きな鍵となります。我々はベンゼンの嫌気条件における分解技術を確立すべく、ベンゼン分解微生物の解析や分解促進手法の開発に関する研究を行っています。

研究論文(査読付き論文・総説)

解説など(査読のないもの)

  • 栗栖太 (2022) 表紙の人に聞く 流域全体の水システム管理実現へ:有機物解析で一歩進んだ水質監視を, 水道公論, 58(8), pp.20-24.
  • 栗栖太 (2022) 水質制御のための有機物分析・微生物分析への挑戦 (連載:環境技術思想-持続可能な社会に向かって). 月刊下水道 45(1),pp.97-101.
  • 栗栖太 (2017) メタン生成条件におけるベンゼンの嫌気的生物分解. 環境技術 46(2), 15-20.
  • 春日郁朗、栗栖太 (2016) フーリエ変換質量分析計による未知スクリーニング分析を活用した水処理プロセスの評価. 水環境学会誌 39(10), 380-383.
  • 春日郁朗、栗栖太 (2016) 流域レベルでの溶存有機物(DOM)管理に向けた新たな展開. EiCA(環境システム計測学会学会誌) 21(1), 2-6.
  • Kurisu F (2008) Bioremediation of Groundwater and Soil in Urban Areas. In: Takizawa S. (ed.) Groundwater Management in Asian Cities - Technology and Policy for Sustainability; : Springer, ; . p.207-221.
  • Mohiuddin Md. Taimur Khan, Warren Jones, Anne Camper, Satoshi Takizawa, Hiroyuki Katayama, Futoshi Kurisu and Shinichiro Ohgaki (2007) Powdered activated carbon and biofiltration improve MF performance: Part I. Membrane Technology, 2007, 5, 7-10
  • 矢木修身・岩崎一弘・栗栖太 (2001) 原位置バイオレメディエーション技術を用いた揮発性有機塩素化合物汚染土壌・地下水の浄化. 環境バイオテクノロジー学会誌、1、1、15-24

書籍編集

  • Kurisu, F., Ramanathan, A., Kazmi, A.A. and Kumar, M. (eds) (2016) Trends in Asian Water Environment Science and Technology, Springer, India.
  • Kensuke Fukushi, Futoshi Kurisu, Kumiko Oguma, Hiroaki Furumai, and Psyche Fontanos. (2010) Southeast Asia Water Environment 4; IWA Publishing, UK
  • S. Takizawa, H. Satoh and F. Kurisu. (2009) Southeast Asia Water Environment 3; IWA Publishing, UK
  • H. Furumai, H. Katayama, F. Kurisu, H.Satoh, S. Ohgaki and N.C. Thanh. (2007) Southeast Asia Water Environment 2; IWA Publishing, UK

特許

詳細はresearchmap

受賞

  • 2019年日本水環境学会論文賞 主要対象論文、 対象関連論文1・ 対象関連論文2(令和2年6月)
  • 2019年度日本水環境学会水環境国際活動賞(いであ活動賞)第8回IWA微生物生態と水環境工学専門家国際会議に対し(令和元年3月)
  • 2018年日本水環境学会年間優秀論文賞(メタウォーター賞)共著論文(令和元年9月)
  • WET2016, 日本水環境学会WET Excellent Paper Award 共著論文(平成28年8月)
  • 平成22年度クリタ水・環境科学研究優秀賞(平成22年6月)
  • 平成14年度武田研究奨励賞優秀研究賞(共同研究者として参画・研究代表者:岩崎一弘(国立環境研究所))(平成14年11月)
  • 平成12年度土木学会論文奨励賞(佐藤弘泰とともに受賞・土木学会論文集、VII-13、pp.23-34に対し)(平成13年5月)
  • 平成10年度土木学会年次学術講演会優秀講演者表彰(平成10年11月)

講義紹介

環境微生物工学(学部3年)

 環境問題を扱う上で、微生物の役割は非常に大きい。自然環境の状況は微生物の代謝によって支配される部分も大きい。また環境問題の対策技術には、微生物の能力を用いたものも多い。環境工学を専門とする上で必要となる基礎的な微生物学の知識と、その知識の応用先、応用方法について講義します。

環境微生物工学特論E(大学院)

 環境微生物工学の基礎知識をベースとしながら、環境微生物生態系の解析手法や生態系の例、物質循環における微生物の寄与などを扱う、英語の講義です。
 そのほか、必修科目である環境工学演習や、輪講などを担当します。

都市環境工学演習B第1(学部3年)

 河川流域の流出解析と、汚濁負荷解析を行います。前者は水の量を、後者は水の質を予測評価するために必須の手法であり、考え方は単なる水質の予測にとどまらず、さまざまな環境問題の解析に応用できるものです。

学会役員・委員会委員など

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その他の役職

東京大学運動会競技ダンス部 部長

全日本学生競技ダンス連盟 会長

東部日本学生競技ダンス連盟 会長

公益社団法人 日本ダンススポーツ連盟 理事